寒くて辛かった冬が終わり、やっと暖かい春が来る。
嬉しい気持ちの反面、寒暖差が大きい季節の変わり目は最も体調を崩しやすい時期です。
特に消化器系に乱れが生じやすくなります。
- 食欲不振、胃もたれ、胸焼け、消化不良、ガス腹、便秘、下痢など。
消化器官が乱れると・・・肌荒れ、口内炎、肥満、老化現象の症状となって現れることもあります。
そして春と言えば花粉症。
せっかく過ごしやすくなっても、目の痒み・鼻詰まり・倦怠感があっては気分も晴れません。
今回は、季節の変わり目の食養生についてまとめたいと思います。
目次
季節の変わり目に養生する。
□「通年で食べたい」甘味に属する食べ物。
ここでの「甘味」は、単純に砂糖の入ったお菓子ではなく、薬膳・陰陽五行説で甘味に属する食べ物です。
具体的には・・・
ハチミツ、黒砂糖、卵、牛乳、ごま、くるみ、バナナ、玄米、小麦、もち米、ハト麦、小豆、黒豆、緑豆、そば、きくらげ、じゃがいも、キャベツ、いか、えび etc.
▶︎なぜ甘味の食材が良いのか?
甘味に属する食材は、全身に栄養を届ける運搬者の役割を果たしています。
主には穀物、いも類、豆類、肉魚など。
ほぼ通年手に入るものが多く、実は日々私達が食べる物の約7割が甘味に属しています。
ダイエット中は脂肪に変わりやすい穀類(炭水化物)をカットしたくなるところですが、中性脂肪を減らし過ぎることにも健康リスクがあります。
脂肪がなさ過ぎる人の身体は、燃やすためのエネルギーが常に不足しているので疲れやすい。つまり体力がありません。
それに加え、脂肪が減り過ぎると体温調節も困難になります。
筋肉や脂肪が少ない痩せている女性は、冷え性・末端冷え性が悪化しやすいのです。
自分の身体と相談しながら疲れやすさや冷えを感じる場合は、しっかりと糖質を摂って脂肪が減り過ぎないようにバランスを取ることも大切です。
●甘味は胃・脾臓を労わる。
甘味の食材は、消化器官全体の働きを補います。
胃だけじゃなく、口・食道・胃・小腸・大腸、食物の通り道全般を労るので、調子を崩しやすい季節の変わり目には特に意識して摂りたいのです。
また、甘味には緊張(滞っているもの)をほぐして、柔らかく中和させる効能もあります。
●甘味は体を温めも冷やしもしない。
食品の性質は大まかに3つに分類されます。
- 体を温める 温・熱性
- 体を冷やす 寒・涼性
- どちらでもない 平性
甘味の食材は温めも冷やしもしない平性に属す食材が多い。
温・寒の歪みがない点も季節の変わり目に甘味の食材を摂りたい理由の一つです。
一方甘味の中でも温・寒の性質をもつ食材は季節により食べ過ぎ注意です。
- 寒・涼性・・・バナナ、小麦、そば、卵白、緑豆、はとむぎ
- 温・熱性・・・もち麦、黒砂糖、えび
冬にバナナを食べ過ぎると身体を冷やしてしまうかもしれません。
陰陽五行説による食品別の性質や効能についてはこちらに詳しく書いています。
▶︎食べ過ぎるとアレルギー源になり得る食品群。
牛乳、卵、小麦(グルテン)、そばなどの食材は、摂り過ぎるとアレルギー物質になり得る食品群です。
生まれつき食べれない人もいれば、食べ過ぎが原因でアレルギー反応が出る場合もあるし、大人になって腸内細菌変化により体質に合わなくなる人もいます。
自分の体と食品の相性は、実生活の中で分かる即効性アレルギーならわかりやすいのですが、症状が遅れてくる遅発性アレルギーは原因食品の特定が難しいです。
遅発性アレルギーは血液検査で調べることができます。
例えば、原因不明の不調を抱えた人が検査で原因物質を特定し、症状改善に至ることもあります。
詳しくはこちらで記事にしています。
個人的には、大きく体調が崩れたりしない限りはどの食材も適度に食べることをおすすめします。
特に乳製品や卵などの動物性タンパク質は肌や髪を作る源なので、若々しいハリツヤのある印象作りに欠かせない大切な栄養です。
□「花粉症・アレルギー」を養生する食べ物。
花粉症に限らずアトピー性皮膚炎や鼻炎など、昨今は子供のうちからアレルギー症状を持つ人が多い。
アレルギーは免疫機能の暴走(=自己免疫機能が自分の細胞を傷つけてしまう事)が、要因と言われていますが、
ひとりひとり性格が違うように、生まれ持った腸内細菌も違うし、毎日の食事も違う。その原因を一人ずつ明確に特定するのは現代科学でも難しいようです。
中医薬学の世界では、アレルギー疾患の大元にある臓器は「肺」とされています。
皮膚粘膜や鼻の機能を正常に保つのは肺の役割だからです。
なので、花粉症養生には肺機能を補う食品が良いとされています。
▶︎肺・大腸を補う辛味の食べ物。
具体的には、里芋、しょうが、大根、ねぎ、しそ、わけぎ、にら、ニンニク etc.
辛味の食品は、体を温めて滞ったものを追い出す発散作用を持ちます。
辛味以外の食材なら、
- しいたけ‥‥有毒物質の解毒作用がある肝臓を補う。
- 納豆‥‥善玉菌を増やし、腸内環境を改善する。
▶︎腸内環境作り・ストレスケアが長期的緩和のカギ。
約6割の免疫細胞が集結している腸内環境を健康に保つことは、免疫機能に大きく貢献します。
また、抗ストレスホルモンを生成する副腎を疲れさせない食習慣が長期的体質改善につながります。
強いストレスからくる気の滞りもアレルギー疾患の一因であると言われているのです。
- 食品添加物
- 遺伝子組み換え食品、農薬
- プラスチック容器
こういった加工食品中心の生活になっていませんか?
これらの物質は摂り過ぎると有害となり、体に炎症(アレルギー)をもたらします。
有害物質を避ける事もストレスから体を守る大きなポイントです。
副腎ケアについて詳しくはこちらの記事に書いています。気になる方はぜひ読んでみてください。
□「季節の変わり目」っていつ?
季節の変わり目とは、正確にいつのことか?
五行説では、春夏秋冬の四季プラス「土用」と言う季節の変わり目を含め、季節を五つに分類します。
毎年7月後半に「土用の丑の日」が来て鰻を食べますが、実は土用期間は季節の変わり目ごとに年に4回存在します。
- 立春(2/4頃)
- 立夏(5/5頃)
- 立秋(8/7頃)
- 立冬(11/7頃)
それぞれの日にちの前18日間が土用期間です。
なので冬から春への移行期間は、暦の上では1/18〜2/4頃ということになります。
しかし立春を迎えてもまだまだ寒さは厳しいので、現代の気候で考えると暦は少し早いのかもしれません。
あなたの周囲に季節の変わり目になると決まって体調を崩す人がいませんか?
気候変化にはそれだけ人の体力を奪うパワーがあり、誰でも養生が必要です。
この記事で紹介した食品群、ぜひ普段の食事で意識してみてください!